ビリギャルよりビリから慶應を通信で卒業しました!-卒業までの勉強法書いていきます-

高校中退から高卒認定試験を受けて、慶應義塾大学の通信教育課程を卒業しました。 卒業まで5年間において自分が得た、経験や知識をブログに示していきたいと思います。

韓国の教育⑶英語教育

こんにちは。
今回は、韓国の教育第3回目です。
韓国では、教育に対する意識が高く受験競争が依然として熾烈で、それに伴い学力水準がかなり高くなっています。PISAなどの学力調査でも世界で最上位です。
その中でも、韓国では英語教育に力を入れていて、かなりの水準の英語力になっているみたいです。
今回は韓国の学力の高さを表す事例の一つとして、英語教育に焦点を当てて書いていきます。

⑶韓国の英語教育

①国際意識の変化
韓国では英語教育がかなり重視されています。
早い時期から小学校でも英語教育が義務化され、小学校6年生で日本の中学校2年生のレベルの学習がおこなわれているようです。

英語教育に力を入れるきっかけになったのは、1997年に起こったIMF (国際通貨基金)経済危機、そして、2002年日韓ワールドカップのベスト4入りといった出来事があるみたいです。

韓国では、国の教育政策として英語教育が重視されてきましたが、その背景には、文民出身の金泳三政権のもとで定められた国家目標としての「世界化政策」が始まりといわれます。
その後、1997年のIMF経済危機の下で誕生した金大中政権は、IMF体制を受け入れることによって経済の建て直しと国内市場の開放、IT技術の確立を目指しました。
教育面では、世界化に備えた英語教育の徹底化、国際社会に対応できる人材の育成、留学の自由化に重点をおいた教育政策を推進しました。
このように、金泳三、金大中両政権の国家政策によって現代韓国社会では英語教育が最も力を入れている教育政策の1 つとなっていきました。

また、2002年の日韓ワールドカップでベスト4に入ったことが韓国人のなかで、世界に通用するという自信を持たせるようになったみたいです。
国史上はじめて外国人監督として招聘したヒディング監督は、徹底した理論と実力主義を導入して、それまで勝利することすら難しかったワールドカップの舞台で、ベスト4という成績を残すことができました。
このことは、一生懸命頑張り、実力主義で公正な方法で戦えば、世界でも通用するという精神を韓国人に身につけさせたようです。

このように韓国では自らの危機の中で、世界に視野をむけるようになり、英語教育に力を入れるようになりました。
そして2002年の日韓ワールドカップでの成功などを経て、国際的な意識も変わっていきました。
そのような結果が今のような外国語教育を重視して、韓国が国際的に活躍できるような状態に至ったのだと考えられます。

ただ、問題もあります。
1997年に韓国で、英語教育が小学校に導入され、それに伴い早期英語教育が過熱化しました。所得が多い家庭の子どもは英語塾に通い、早期留学に行くなど、親の所得が子どもたちの英語力に影響を与えるなどの問題が生じてきました。

韓国の中では、ソウルと地方における生活格差、教育格差が大きいといわれています。ソウルは、最も私教育費の支出額が高い都市で、2012年度のデータでは、私教育費を最も多く投資している科目は英語になっています。
また、所得が高くなるほど私教育に支出し、参与率が高くなる傾向もデータからみてとれます。

そのような所得による英語力の格差を軽減するために,韓国政府は、さまざまな政策をおこない、その成果も現れているようです。

②韓国の英語教育の特徴
韓国の外国語教育の特徴を示す事例として、韓国の留学事情と、国の政策の一つである英語村の2点について書いていきます。

【韓国の留学事情】
1995年に世界貿易機関(WTO)に加盟したことをきっかけに、韓国では、留学ブームが起こり留学者数は増えていきました。

教育部の統計によると、2013年度、海外への留学生の数は約23万人です。
地域別では、アジアが約11万人、北米約8.5万人、欧州約3万人となっています。
国別では、アメリカが約7.5万人で全体の約 31%、中国が約6.3万人 (約28%)、日本が約1.8万人(約8.3%)、イギリスが約1.2万人(約5.5%)と続きます。

アメリカへの留学に関しては、減少傾向にあるようです。これは、アメリカの景気後退や授業料の値上げが原因と考えられています。また、韓国の一流企業が以前よりもアメリカ留学経験者を採用で優遇しなくなってきたという見方もあります。
日本への留学も下火ですが、まだ人気はあるようです。ただ、最近は日本語を学ぶという目的で留学する学生より、研究や就職といった目的をもって日本への留学する学生が増えているみたいです。

韓国では、2006年までは、海外に出国した小・中・高等学校の生徒数が増え続けました。しかし、2007年以降は、早期留学生の数が徐々に減少しています。これは後述する英語の教育格差を軽減するための政策の効果であると考えられます。

留学者数が2009年に大幅に減少しましたが、これは2008年のリーマン・ショックが影響しているものと考えられています。リーマンショックのような状況の中で、子どもを海外で学ばせるために、妻子を海外に住まわせ、韓国に残って働く「キロギ・アッパ」と呼ばれる父親が社会問題となりました。キロギ・アッパの孤独死や自殺など、つらい生活実態が明らかになり早期留学に対する批判が高まっていきました。

早期留学に実際行けるのは一握りの子どもたちでした。多くの子どもたちは経済的にそのような余裕もなく、英語教育における格差というものが広がっていき、親の所得による英語の教育格差というものが大きな社会問題となっていきました。

韓国政府や自治体は解決するためにさまざまな対策を試みていました。その一つが「英語村」です。

https://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2014/__icsFiles/afieldfile/2015/11/18/201409tokiwagiyuichi.pdf

【英語村】
韓国では、上述したような早期留学の過熱化を緩和するため、英語村という擬似留学体験施設をつくりました。
英語村は、韓国国内で、留学と同じような状況をつくり出し、安い費用で留学のような体験ができる機会を与えようという目的で、地方自治体により設立された施設です。
経済的理由で海外に留学できない家庭の子どもたちにも、そのような機会を与えて、英語教育の格差を減らそうと考えました。

2004年8月にはじめての英語村である「京畿英語村アンサンキャンプ」が京畿道に設立され、その後、韓国各地に英語村が設立されました。2011年度には、韓国全土で32の施設があることが確認されています。

これらの中で、京畿道の「京畿英語村パジュキャンプ」と慶尚南道の「チャンニョン英語村」は自治体によって運営されています。その他の英語村は民間によって運営されていて、それぞれが地方自治体の援助を受けて経営を行っているため、低価格で参加できます。

有名なのは、京畿英語村パジュキャンプです。
京畿英語村パジュキャンプは、イギリスの南部地方ライ村をモデルにしています。
楽しいアクティビティを通して、生活の中で自然に英語と英語圏の文化を学ぶことができる施設になっています。敷地内には600席のコンサートホールやレストランなどの商業施設を運営しています。京畿英語村パジュキャンプには多くの外国人スタッフが生活しています。また、実物大の警察署、郵便局、銀行、入国審査場等があり、そこでロールプレーの授業を行うことができます。日本にある子どもの商業体験施設「キッザニア」の英語版といった感じでしょうか。

韓国人を対象にしたプログラムは、日帰りの「One Day Program」と宿泊を伴う「Courses」に分かれています。
「One Day Program」は幼児や小学生や家族連れを対象にして、料理や工作などをしながら楽しく学ぶプログラムが多いです。「Courses」には小学生、中学生、高校生、大学生、一般、および英語教師のためのプログラムが用意されています。

しかし、これらの英語村の多くは設置の初期費用が高額で、人件費が高く、その割に受講費が安いため、財政的に厳しい状況です。2007年には、全国の英語村は、総額で約210億ウォンの赤字を出したといわれています。
オンライン英会話などの発展などの影響もあり、利用者が減少して、廃業になる英語村も増えてきているようです。

また、設立当初の英語だけを使用するという理想とは程遠く、敷地内のレストランなどでは韓国語が使われ、英語村では英語が使われなくなりつつあるともいわれています。

多くの問題をはらんでいる英語村ですが、多くの小・中・高等学校が英語村を定期的に利用しいます。英語村は韓国の英語教育において、現在も重要な役割を果たしていると考えられます。
http://shiten.agi.or.jp/shiten/201403/shiten201403_17-25.pdf

以上が韓国の英語教育の実情でした。
韓国では、国を挙げて英語教育に力を入れてきました。その結果は、さまざまな方面で成果としてあらわれています。
その過程で、経済力による英語力の格差などが問題になってきましたが、政府はそのような問題にも対策を講じてきました。英語村などの、それらの政策は一定の効果があったみたいです。

次回からは韓国の歴史教育について書いていきたいと思います。何かと日本との関係で話題になる韓国の歴史について教育という側面から考えてみたいです。

今回も読んでいただいてありがとうございました。

(参考文献)
岩渕秀樹『韓国のグローバル人材育成力』
湯藤俊吾『危機に瀕する韓国教育』
湯藤俊吾『韓国学校教育から日本を見る』
渡辺秀樹『勉強と居場所』
巨額の税金かけ廃業する京畿道の「英語村」 : 政治•社会 : hankyoreh japan
韓国の子ども向け英語教育熱が斜め上な件。「子どものため」になる英語教育って何だろう…? - GOTCHA!