ビリギャルよりビリから慶應を通信で卒業しました!-卒業までの勉強法書いていきます-

高校中退から高卒認定試験を受けて、慶應義塾大学の通信教育課程を卒業しました。 卒業まで5年間において自分が得た、経験や知識をブログに示していきたいと思います。

韓国の教育⑸韓国の歴史教科書

こんにちは。
今回は韓国の教育第5回です。
韓国の歴史教科書問題について書いていきます。
前回は、戦後における、韓国の歴史教育の変遷を記事にしました。
韓国では、植民地支配の解放から国威を回復する目的で歴史教育が利用され、徐々に国家主義的なものになってきて、それに対する論争があり、今に至るという感じです。
今回は、論争の一つである教科書問題について書いていきます。まずはじめに、韓国の歴史教科書について説明して、その後、歴史教科書に関する2000年代に起こった問題を3点挙げて説明していきたいと思います。

⑸韓国の歴史教科書問題
①歴史教科書
・教科書の種類
現在、韓国では国定教科書、検定教科書、認定教科書という3種類の教科書が使用されています。

国定教科書は、全員が使うことを義務付けられた国が作成した教科書です。教育部が著作権を持ち、教育部で編纂し、1科目当たり、1種類の教科書を委託した各出版社が販売します。

検定教科書は、教育部長官の検定を受けた教科書のことです。民間の出版社が著作した教科書を国家機関が検定したものです。日本では小学校から高等学校まで、すべて検定教科書が使われています。

認定教科書は、各市・道の教育官の認定を受けた教科用図書であり、民間の出版社が著作した図書を国家機関が認定したものです。

韓国では、歴史関連の教科書は、小学校以外はすべて検定教科書です。

どの教科がどのような種類の教科書としてつくられるかは、各種法律や教育課程など制度的な基準、政策決定者や研究者などその分野に関わる人々、教科書の叙述、その時代における政治的な要因や社会の欲求、といった要素から判断されます。
さまざまな事項が勘案されて、どの種類の教科書として作成されるのか決まっていきます。

・歴史教科書の変遷
ここで、戦後の韓国の歴史教科書について大まかな流れを説明します。
韓国の歴史教科書は、終戦後から現在に至る過程で、さまざまにイメージを変化してきました。独立後、教科書の内容は民族主義的色彩が徐々に強くなってきました。
歴史教育は、1963年、朴正煕の執権により国の作る国定教科書に統一され、民族主義、反共など、政治的意図が反映された形となりました。
客観的根拠が明らかに不足している内容については、内容を曖昧化したり、具体的な言及を避ける方向へ、少しずつ「修正」されている部分もあるようです。
日本との関係では、韓国が恩恵を受けたことなど、韓国に不利な点は小さく記載され、恩恵を与えたことや被害については強調される傾向があるみたいです。
慰安婦問題などは、1990年代に初めて教科書に登場した後、徐々に内容が強化されてきました。2000年代に入り、教科書の慰安婦関連の記載などに市民団体の作成した資料が登場しましたが、その中には、検証が十分にされていない内容が含まれているケースもあります。(チェヨンギ2014:75)

韓国の歴史教科書は時代によって、その色彩を変化させてきました。その過程で、さまざまな論争や問題が発生しました。その中で2000年代に起きた3つの出来事を紹介していきます。

②韓国の歴史教科書問題
2000年代に入り、韓国国内で歴史教科書をめぐりいくつか問題が発生しました。
ここでは3つの歴史教科書問題を考察していきます。

・金星出版社『韓国近現代史』教科書問題
第七次教育課程(1997年)により、高校では「韓国近・現代史」科目が設置されました。数社の検定教科書『韓国近・現代史』が編纂され、2002年7月、教科書の検定結果が発表されました。検定を受けた中の1社であった金星出版社の教科書が問題となりました。
金星出版社の教科書を問題と批判をしたのは、保守メディアやハンナラ党の一部の議員、そしてニューライト系団体「教科書フォーラム」でした。批判内容は「金星出版社の教科書が親北、反米、反財閥的な内容を強調している」ということでした。

その問題を引き金に2つの出来事が起こります。

1点目は教科部が、ハンナラ党の一部の議員やニューライト系列団体の影響を受けて、金星出版社版を含む『韓国近・現代史』教科書6種に対し、再度不当な修正を指示するという行政措置をおこなったことです。
もう1点は、その過程で教科部が金星出版社に対して要請した『韓国近・現代史』の修正命令に対して、出版社が執筆者の同意なく修正した教科書を教科部に提出するという、教科書執筆者の著作権が侵害される問題が発生しました。

金星出版社の教科書執筆者たちは、教科部を相手にして「韓国近現代史教科書修正指示の不当性に対する行政訴訟」を提起し、出版社に対しては「著作権侵害停止請求訴訟」を提起しました。前者は原告勝訴、後者は原告敗訴の結果となりました。
この一連の問題を境に、韓国の歴史学界に、ニューライト勢力が侵入してくることになりました。

・教学社『韓国史』教科書
ニューライトとは、今までにない立場や考えを持った保守派の中の新勢力です。そのような考えの人々が集まってつくられた団体が、教科書フォーラムです。
ニューライト系の人々はいくつかの学術団体も組織するようになり、その過程で韓国の歴史教科書にも深く関与してくるようになります。
ニューライト勢力は教科書に対する問題提起だけでなく、自らが教科書を執筆して、歴史教育に直接影響を及ぼそうとしました。
2013年8月30日韓国史の教科書8種が検定通過し、その中にニューライト系教学社の教科書も含まれていました。それを受けて、歴史学術団体などは、教学社版の教科書における歴史叙述の誤りを指摘する公開説明会などを実施しました。
そのような動きに対して、教育部は検定通過したすべての教科書の修正・補完勧告事項を発表しました。教学社以外の教科書も修正され、最終的に教科書として承認されることになりました。
修正後の教学社版教科書にも依然として多くの誤りがあると批判がありましたが、2014年3月1日より、その時に検定に合格した図書が全国の高等学校で使用され始めました。
しかし、教学社版教科書の採択はなく、ニューライト勢力は一時的に弱まることになりました。

国史教科書国定化論争
2014年になると、セヌリ党(自由韓国党)代表や議員などが立て続けに、歴史教科書の国定化を支持する発言をし始めました。
多くの歴史学者たちは、ニューライト勢力の影響があると考え、国定教科書の反対を表明しました。また、直接学生に授業を行う立場にある高校の歴史教師も、国史教科書の国定化に反対する声を強め、高校生自身が反対デモをおこなうなど多くの論争を呼び起こしました。

教科書国定化は、朴槿恵政権において政策の目玉でした。歴史教科書の国定化によって、2017年には中学、高校における国定教科書の最終版が発表されましたが、その時点での申請校は無かったようです。現在も国定教科書についての議論は続いているようです。

このように韓国の歴史教科書は、時代や政治の影響を受けながら、その在り方が変化してきました。そして現在も、その在り方を模索しているようです。
次回は、歴史教育の最後の回として、反日教育といわれるものについて書いていきたいと思います。実際そのような教育がおこなわれているのか調べてみました。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

(参考文献)
チェソギョン『韓国で行われている「反日教育」の実態』
金谷俊一郎『歴史認識の違いはこうして生まれる 日中韓教科書読み比べ』
金漢宗『韓国の歴史教育 皇国臣民教育から歴史教科書問題まで』
https://www.kandagaigo.ac.jp/kuis/labo/gci_top/common/pdf/gci_vol3/gci_058-065.pdf
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/18836/1/kyoushokukateinenpou_39_125.pdf