ビリギャルよりビリから慶應を通信で卒業しました!-卒業までの勉強法書いていきます-

高校中退から高卒認定試験を受けて、慶應義塾大学の通信教育課程を卒業しました。 卒業まで5年間において自分が得た、経験や知識をブログに示していきたいと思います。

フィンランドの教育⑶教育都市オウル

こんにちは。
今回はフィンランドの教育3回目です。
フィンランドといえば、サウナ、ノキア、キシリトールといったことが有名です。
最近で言えば、世界的ヒットのスマホゲームアプリ「クラッシュ・オブ・クラン」がフィンランドで生まれたそうです。
今回は、そのようなイメージがあるフィンランドという国における、教育と国家の発展について、オウルという都市を中心に記事にしました。

⑶フィンランドの教育都市オウル


オウルという都市は、かつて携帯電話で世界の代表といえる存在であったノキアという会社の本拠地です。
今、新しい通信規格「5G」の最先端の研究開発拠点として再注目されています。

最先端教育都市オウル

・5Gの町オウル
オウル市はフィンランド北部の都市です。
北緯60度前後には、オーロラが見える条件下のオーロラベルトという領域があります。
オウルはそんな場所に位置する町です。
人口は約25万人、在住者の国籍は120に及び、居住者の平均年齢が37.4歳、毎年エアギター世界選手権が開催されるます。
グローバルで、若く、そしてエネルギッシュな町がオウルです。
オウルが若者を惹きつける原因について

「オウル市の平均年齢が若い理由の一つが、各家庭が平均して複数名の子供を産み育てていることです。そこには、政府の子育て支援や質の高い教育環境に加え、自然豊かな環境に囲まれていることも影響しているでしょう。北極圏に接した森林地帯では様々なアクティビティも楽しめます」
https://news.yahoo.co.jp/byline/dobashikatsutoshi/20180222-00081860/引用

とオウル市長は述べています。
オウルでは、2014年頃から新興企業が増え始めました。
ヘルスケア、ライフサイエンスやICT系の会社が多く、ハイテク領域の専門家は1万8500人にもなるようです。

・リストラからスタートアップ
2014年に新興企業が増え始めたことには理由があります。
オウルの要であったノキア社はiPhoneなどのスマートフォンの発売によって、携帯電話事業で苦境に立たされていました。
そのような状況下、ノキア社のモバイル事業は、マイクロソフト社に買収されました。
2015年に大規模なリストラがおこなわれました。
オウル市内の無線エンジニアや専門家だけで失業者が2500人以上発生しました。
この時にフィンランド政府やノキア社はスタートアップ促進をおこないました。
例えば、IoTウェアラブル開発会社Haltianは多くの従業員がノキア出身者です。
ノイズキャンセリング機能付きイヤープラグを開発するQuietOnの共同創業者たちも、ノキアで経験を積んだ後に起業しています。
ノキアは事業売却による雇用問題に対して、独自の起業支援「ブリッジ・プログラム」をおこなってきました。
従業員1万8000人が参加したブリッジプログラムを経て、ICTを中心に1000社以上のスタートアップが創業しています。
また、公的資金投入による大企業救済ではなく伸びる新興企業に目を向けた、政府の取り組みも大きな力になったようです。

現在、オウルは、伝統的な無線技術の蓄積などがあるため、5Gの実証実験の場として世界各国から再注目されています。

・慶應通信の科目にも登場する「オウル」
実はというほどではないのですが、このオウルという都市は、慶應通信の文学部科目「地理学Ⅰ」に登場しています。
「地理学Ⅰ」はトランスナショナル化する世界というテーマをメインにしています。
世界のさまざまな都市や企業を取り上げながら、世界経済と地理の関わりについての歴史や問題点などを考察していく内容です。
テキストの流れを簡単にいうと、世界は交通通信技術の発展によってグローバル化が進んでいき、経済規模が発展したが、それが良いのか、悪いのかという内容です。
オウルは、今後期待できる都市の例として挙げられています。

・オウルの歴史
オウルという都市は、フィンランドの北部にある田舎町でした。
フィンランドでは、交通の便の影響もあり、歴史的にヘルシンキなど主要都市は、南部に集中していました。
オウルは、古い時代には、タールを主産業とし細々とした経済を営み、そして産業革命以後は外国資本による木材・製紙産業によって生計を立てていた町でした。
当時の若者は、豊かさを求め、南部の大都市や隣国スウェーデンなどに移住することが多く、典型的な過疎の町でした

・オウル大学
1958年「オウル大学」が創設されたことで、オウルに転機が訪れました。
フィンランド政府は反対派を押し切り、この田舎町に大学を設置して、若者流出を阻止して地域活性化を目指しました。

オウル大学は、現在も教育都市オウルの要です。
教員養成で定評のある総合大学オウル大学や、官民で様々な取り組みを進めるオウル応用科学大学があり、学生数は2万5000人に及びます。
オウル大学内での研究活動に基づいて創業したスタートアップ企業は60以上になるそうです。

オウル大学は、フィンランド南部以外の最初の大学として設立され、設立当初より周辺地域と密接なつながりを維持してきました。
1965年に創設された、工学部の電子工学科にノキア社で無線電話開発などをおこなっていたマッティ・オタラ氏を招聘しました。
オタラはオウル大学に、電子工学エンジニアを養成する部門をつくりました。

・ITの町オウルへ発展
IT革命が訪れ、オウルには、ノキア社などのIT関連企業が立地するようになり、1980年代にはノキア社の進出が本格して、オウルの町は国内屈指のエレクトロニクス産業の都市になりました。
関連企業などもオウルに立地するようになりテクノポリスとして発展していきました。
2000年代前半には、ノキアの携帯電話が世界シェア40%を誇っていました。オウルは、フィンランド第4の都市にまで成長を遂げ、IT関連企業の従業員が多く居住し、高校生や大学生が多くの割合を占めるような最先端都市になりました。

慶應通信のテキストでは、このオウルの成長を、アメリカのシリコンバレーのような奇跡の発展を遂げた一例として紹介しています。
この成功には、IT革命の恩恵という側面が大きいですが、オウル市という地方政府の先見性と長期的な努力の積み重ねを忘れてはいけないと、テキストでは述べられています。
オウルの例は、その当時の既成産業集積による発展に対抗する、地方での取り組みの一例といえるのではないでしょうか。

このテキストが書かれたのは、2010年前後です。現在は状況も変わっています。
すぐに状況が変わる世界情勢の中、このような分野でのテキストをつくるということは難しいなと思いました。


(参考)
杉浦章介「慶應義塾大学通信テキスト 地理学Ⅰ」
北欧のノキア城下町激変 5Gの起業基地に :日本経済新聞
ノキアの5G研究開発拠点・フィンランドの教育都市オウル――優秀な人材を育む環境とは――(土橋克寿) - 個人 - Yahoo!ニュース


中学校から最先端技術に触れる環境

フィンランドでは、オウル大学のような高等教育機関だけでなく、中学校段階から最先端技術に触れ、新しいことを創造していく環境にあるようです。

・ある中学校の学習環境

首都ヘルシンキ内の、ある中学校では、グループワークにおける共同作業や成果物発表はクラウド活用を前提としています。
必要な基本サービスは市を介して無料で提供されます。
例えば、教師・生徒・両親のためのコミュニケーションツール「Wilma」、デジタルラーニングプラットフォーム「Fronter」、教育機関向けオフィスアプリ「Google Apps for Education」「Office 365」などのサービスです。
これらを十分に使いこなすため、全教師がiPadを保有し、生徒は授業内容や課題に応じて、学校内にある400以上の最新機器(PC、タブレットなど)を全員が利用することができる環境にあります。
ほぼ全ての教室に電子黒板、ドキュメントカメラ、AppleTVなどが設置され、教育機関向け3Dラーニングツール「Sensavis 3D」が導入されている場所もあるようです。

デジタルツールは、例えば、生物や歴史においてはデジタルブックスを用いて視覚的に学習します。社会では、タブレットを用いて電子書籍の共同編集をおこないます。
物理や科学では電子ノートを用いて実験結果を共有したり、語学では無料のeラーニングシステムなどでゲーム性を取り入れ、数学では数学ソフトを用いて複雑な問題に取り組みます。

また、今年はAndroid、翌年はiPad、翌々年はWindowsといったように、1学年毎に生徒希望の環境で学べるICT特別強化クラスや、デジタル・アート、デジタル・ミュージック、インターネットなどの選択科目が用意されています。
例えば、デジタル・アートでは、フリーソフトウェアを活用して、画像処理、写真編集、著作権などを学んでいくようです。
この他、パソコンの自作や接続、画像・音声ファイルの編集、プログラミング、ローカルエリアネットワーク構築やメンテナンス、データ保護(ウイルス防止やファイアウォール)、インターネット倫理などの教育もおこなわれるようです。

このような中学校の環境は、首都ヘルシンキ近郊の学校の中で特殊な例ではありません。

・ICTを使い自主的に学び創造する

フィンランドの教育制度では、カリキュラムや学習目的については国が決定権がありますが、生徒が何をどうやって学ぶのかについては自治体、学校、教師が主体となってを決めることができます。

2016年フィンランドでは、10年に1度のカリキュラム改正が実施されました。
新カリキュラムでは、複数教科にまたがる横断的教育をおこなう授業を最低1コマ盛り込むことが義務付けられました。
「世界大戦」や「地球温暖化」などのテーマを数週間に及ぶプロジェクト形式で学んでいきます。
日本の総合的な学習の時間ようなものです。
例えば「世界大戦」について、歴史、地理、数学の観点から勉強していくといった形です。

学習目標の設定なども、教師と生徒が話し合い決めます。
生徒が、単に教師から知識を伝達されるのではなく、自ら考えて学び、人に教え伝える主体となることを目指します。
新カリキュラムでは、学習方法を学んだり、新しい技術を使いこなしたり、自分なりに考えてプロジェクトを実行させたり、成果を人前で発表するといった、将来に必要なスキルの育成に焦点が当てられています。

プログラミングも必修化になりました。
しかし、独立した科目ではないです。
算数、音楽、体育など、全ての科目に横断的に取り入れられているようです。
1年生から9年生(日本の小中学校)まで段階的に、正確な指示伝達、論理的思考、コンピュータやタブレットの動作、アルゴリズム、最低1つのプログラミング言語を学んできます。
教師は、生徒たちが自由に学び、挑戦する環境をつくる役目を期待され、プログラミングについての専門性は強く求められていません。

フィンランドの学校では、最新のICTを駆使することを、目標達成の補助手段と考えています。
それらを使い、本来的な学習内容に加えて、マナー、相互作用に関わる能力、広範囲な自己表現能力を養っていくのです。

フィンランドの教育は、PISA調査で少し順位を落としていますが、いまだ上位です。
しかし、そのような現状に満足せず、子どもにとっての本当に必要な教育とは何かを考え、さらに先に進もうという印象がフィンランドの教育改革にはあるような気がしました。


(参考)
https://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2006/08/articles/0608-08/0608-08_article.html


学生主体の世界一クールなハイテクイベント「スラッシュ」

スラッシュは、世界各地のスタートアップやテクノロジー企業が集結するイベントです。
2008年フィンランドの起業家たちによってスラッシュは初めて開催されました。
初開催に集まったのは、約300人足らずで、参加者もフィンランド人で占められる国内の小規模なイベントでした。

スラッシュが急成長したのは2011年でした。
発起人たちの本業が忙しくなり、運営が難しくなったので、学生たちの強い要望もあり、学生が主体になってイベントをおこなうようになりました。
すると、スラッシュの参加者数は、2011年1500人、2012年3000人、2013年7000人と急増して、海外の起業家や投資家たちの参加も増えていきました。

2013年頃には、シリコンバレーの一流投資家たちや各国首脳なども訪れるようになりました。
しかし、スラッシュが若者中心のエネルギッシュなものであることに変わりはありませんでした。

学生が中心であるからこそのエピソードもあります。2013年にフィンランドの首相がスラッシュに訪れた時の話です。

フィンランドのユルキ・カタイネン首相(当時)が登壇する際には、学生チームがこんな提案を行ったという。

「世界で一番イケているスタートアップ首相になりたいと思いませんか?」

同首相が「興味あるけれど、どうしたら良い?」という反応を示すと、学生が「普段のスーツではなくて、Team Finlandのパーカーで登壇したらどうですか?」と提案する。快諾した同首相だが、ここで話は終わらない――。

というのも、この時に同首相は、単独スピーチではなく、ロシアのアルカジー・ドヴォルコーヴィチ副首相との対談を予定していた。同副首相がスピーカーの控室に来ると「フィンランドの首相の雰囲気が違うな。私はいつもと同じで、これは対照的な光景になるんじゃないか――」と察し、その場でアシスタントに電話して「2時間後に登壇するからソチオリンピックのパーカーを今すぐ持ってきてくれ」と告げたという。結果的に、学生の提案がきっかけとなり、世界初ともいえる首相同士がパーカーで対談するセッションが行われた。
教育改革進むフィンランドーー学生主体の欧州最大級テックイベントとは(土橋克寿) - 個人 - Yahoo!ニュース引用

学生だからできるような提案ですね。

2016年にヘルシンキで開催されたスラッシュには、世界120カ国から1万7500人の参加者が集まりました。
スタートアップ2300社、投資家1100人、ジャーナリスト600人、学生ボランティア2300人に達し、グーグルやノキアが巨大なブースを構え、世界的な祭典に成長しています。

スラッシュが開催される時には、現地に向かう飛行機の中から、すべてがスラッシュ色に染まっているようです。
アメリカからの航空便は「Slush Flight」と名付けられていて、サンフランシスコ空港の搭乗ゲートからスラッシュ特別仕様になります。
ゲート前は、スピーカー、投資家、起業家らスラッシュ参加者のみで埋め尽くされ、スラッシュチャーター便に乗り込むと、機内アナウンスはスラッシュ運営チームによっておこなわれます。スラッシュロゴ入り特注ドリンクや機内食を手渡されるなど、さまざまな工夫がなされます。

このような学生たちの工夫が、リピーターやファンを広げスラッシュは成長してきました。

スラッシュがはじめて海外で開催されたのが2015年のお台場で、その後2017年に東京ビッグサイトで開かれました。2017年の開催の時には、話題の人カルロス・ゴーン氏も登壇されたようです。

学生ボランティア主体、グローバルで多様な参加者、交流を促す仕組み、ライブ感あるクールな会場デザイン、会場内公用語が英語、招待制なしのオープン性など、エネルギッシュな雰囲気がスラッシュの特徴です。

今回、記事にした、オウル市やスラッシュは、教育の力、学生の力によって、都市や国を発展させた例だと思います。
PISA学力テストの結果などに関係なく、子どもにとって最善とは何かを考えて、教育改革をおこなっていることが、このように国家を発展させる原動力を生むのかなと感じました。

次回は、PISAの調査について記事にしたいと思います。
PISAのことを調べて、現代の学びにとってそのような学力テストの存在とは何かを考えたいと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました。


(参考)
教育改革進むフィンランドーー学生主体の欧州最大級テックイベントとは(土橋克寿) - 個人 - Yahoo!ニュース